「あの戦争から遠く離れて―私につながる歴史をたどる旅」

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6年強来の友人のノンフィクションライターのデビュー作。
友人だから言うわけじゃないですが、この本、相当良いです。
内容は、数奇な運命を辿られた著者のお父さんの半生と、著者自身が10年の歳月を費やして自らのルーツを辿った、感動作です。

著者は、中国残留孤児の二世で、それも日本生まれの中国残留孤児二世と言うかなり得意な生まれ。
ある程度以上の年代の方だと、日本生まれの中国残留孤児??・・・・残留孤児が日本に帰ってきて、日本で結婚して子供が生まれて、その子供がこの年齢・・・・・計算が合わなくないか??・・・と思われるでしょう。始めて著者からその話を聞いた人は大抵そう思うようです。
実は私も初めのうちそう思いました。
ここが、この話をさらに感動させるポイントです。
ここで内容を詳細に書きたいところですが、拙い私の文章力では上手く書けそうもないし、変にネタバレしてしまってもしょうがないので、もう少し詳しく知りたい方は、ほぼ日刊イトイ新聞Amazon.co.jpの書評あたりを御覧ください。

この本には読書ポイントがいっぱいあります。
お父さんが残留孤児となって帰国するまで、どうして帰国しなければならなかったのかと言うのはもっとも中心であり当然ですが、私的には、満州国って何?どういう物だったの?(これ学校で習ってないもの・・・)、親子の絆って?、家族って?、戦争って?、国家は個人をどんな扱いをするか?などなど・・・。特に私が興味深かったのは一般庶民の中国人の家族観や人間関係が日本人の著者の目を通して読めたところ。映画好きの私はブルース・リーに始まって色々なカンフー映画・中国系・中国映画で垣間見ていたし、多くはないが今までも中国の人と直接親しく接した経験もあったり、等々なのですが、中国って懐かしいような親しみやすいような、以前一度仕事で中国を訪れてからはさらに「中国ってけっこう肌に合うかも?」などと思っているのですが、どうももう一つ分からない感じ、どう接して良いのか分からないところがあったりするのですが、もう一歩理解できたような気がした。

さらに、第1部のお父さんの物語を読んでいて、このお父さんの姿を読みながら、私はお父さんと著者自身がダブって見えてしょうがなかったのですが。
と言うのは、このお父さんいかなる困難も物ともしないものすごい努力家なんです。
で、私の知っている著者も一見あの年頃の普通の女性なのですが(まあ実際そうなんですが(笑))、目標を定めて突き進んでいく姿と言うか、目的完遂能力と言うかはかなりものすごい物があります。ものすごいというと腕まくりして・・・と言う風に思えますがそんな風でもなく、ただひたすら独自に黙々と努力していくと言う姿勢があって、「最近では珍しい(私の年代でもどの年代でも珍しいんでしょうが)なんかどこかすごい子だなぁ〜」と思っていたりしたのですが、どうやらこれは城戸家のDNAの中にある特質のようですね。(笑)

などとウダウダと分ったような分からないようなことを書いてますが、この本は全ての年代全ての人にオススメできる名著だと思います。

後、出版前から私は言っているのですが、この本をチャン・イーモウ監督に映画化して欲しいです。
映画化するならチャン・イーモウしかいません。
読書中も私の頭の中ではチャン・イーモウ演出の映画が、すでに4パターンくらい繰り広げられていました。(笑)

蛇足ですが、著者へ。
この本は、出版前に私が想像していたより遙かに良い出来です。
正直、驚きと嬉しさで読みました。
でも、デビュー作でいきなり切り札を出してしまったような物なので、次回作は相当大変だろうと思いますが、今からしっかり気を引き締めて頑張ってください。
まあ、人並み外れた目標完遂能力の持ち主ですから大丈夫でしょうが。(笑)

最後にこの本を読まれる方に注意事項。
この本、相当泣けます。
なので、ハンカチとティッシュの用意をお忘れ無く!!(笑)

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コメント(6)

ご紹介いただきまして、ありがとうございます(涙)
yukioさんにはえべっさんのとき、いや、もっとずっと前から温かく見守っていただいていて、本当に感謝しております。

次回作、いつになるかわかりませんが、また気を引き締めなおして頑張ります!!

>saitasaeさん
今月初めには読み終えてたのですが、なかなかどう紹介しようか逡巡してしまって、やっと書きました。(笑)
新聞も雑誌も有名どころを総ナメに紹介されてる(そろそろNHKの週間BOOKレビューかな?)ので、たぶん次回作の話どこからかすぐ来ますよ。余韻にしたっている間はないかも?
今が一番大事かもです。

さっそく手配しました(^^;
到着が楽しみです。

>ナローボーターさん
到着するまでにハンカチとティッシュのご用意をお忘れなく。(笑)

遅くなりましたが、昨日読了しました。

あれだけのボリュームのノンフィクション、
この時代(ノンフィクション不毛という意味の)に書かれたことに、
まずは敬意を表します。
著者様にお会いすることがありましたら、
お伝えくださいませ。

>ナローボーダーさん
なかなか良い本だったでしょ。
それでは、著者には再来週に愛媛で会うので言っておきますね。
ナローボーダーさんて、トラベルライターの集まりはmixiからでしたっけ?
著者の城戸さんは、今年の新年会で受付やってた女性です。
またトラベルライターのオフ会がある時にきっと会えますよ。

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このページは、yukioが2007年9月17日 19:32に書いたブログ記事です。

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